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呉清源ー極みの棋譜ー:極

 

Goseigen 絶対音感をもっている人は日常の生活で出る音全てが音階をもってしまうので、音の合わせが悪いと気持ち悪くなってしまう、なんて話を聞いた事のある人は多いのではないでしょうか。それと同じように、囲碁の天才はすべてが碁盤に見えてしまうんだという話を聞いた事があります。人が歩いていたり、並んでいたりのその配置で碁石を浮かべてしまうのだそうです。自分の生活自体が才能と一体化して切り離してはいられない、という天才の性。人より優れた才能を持ち得るという事は、人より少し生きにくいという局面もあるのかもしれません。
 この物語は、中国で生まれた呉清源さんの半生を綴ったものです。今もなお健在の昭和の棋聖についてを物語るのは『青い凧』、『春の惑い』のティエン・チュアンチュアン監督。そしてそして、孤高の天才棋士を演じるのが、チャン・チェン。傑作中の傑作、エドワード・ヤン監督の『クーリンチェ少年殺人事件』の主人公を演じたあの青年です。素晴らしい表現力はもちろんのこと、とにかく天性の美しさが画面に際立って現れます。
 14歳で日本へ渡り、戦後の混乱期から生涯を異国の地で生抜いている呉清源とはどんな人物であり、どのように生きて来たのか。天賦の才能とそれゆえの苦悩、悲しみ、孤独、それがティエン監督が作り出す画面に否応なく現れ、そこに佇む一人の人間の厳かで静かなただづまいには息を飲みます。
 極める事への畏敬の念を持ってこの映画を見つめてしまいました。
是非ご覧ください。

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