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5/22『時をかける少女』舞台挨拶レポート

5月22日(土)
11:00の回と14:00の回に
『時をかける少女』谷口正晃監督による
舞台挨拶が行われました。
たくさんのお客様に足を運んで頂きまして、
誠にありがとうございました…!

11:00の回に行われた舞台挨拶では
約30分という長い時間をとって頂き、
谷口監督と上野さんに貴重なお話を伺うことができました。
今回、その様子をレポートしてみたいと思います!

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司会(以下ー):谷口正晃監督と撮影の上野彰吾さんにお越しいただきました。
高崎での撮影ということもありますので、裏話なども聞けるのではないかと思います。
それでは、谷口正晃監督と撮影の上野彰吾さんお願いいたします。

谷口監督と上野さん登場。

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ーそれではまず、一言ずつお願い致します。

谷口正晃監督(以下T):本日は初日からたくさんのお客様にお越しいただいて、非常に嬉しく思っています。
今回の映画はたくさんの場所で色んな人にお世話になっているのですが、とりわけ高崎は最も撮影した場所なので、上映して頂いて、そしてご覧になっていただいて非常に嬉しく思っています。本日はよろしくお願いします。

上野彰吾さん(以下U):高崎のロケでは非常にお世話になり、お礼を申し上げたく、スタッフ代表として参りました。
本日はよろしくお願いいたします。
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

―まず、『時をかける少女』を撮ろう!という大きなきっかけはなんだったのでしょうか。

T:スタートした時点では僕は関わっていなかったんです。
  プロデューサーの中に、根っからの『時をかける少女』ファンのかたがいまして、 『時をかける少女』に挑戦したいというプロデューサーの思いが企画のスタートになりました。
  その後、制作チームの方々に声をかけてもらい、僕自身も『時をかける少女』の大ファンだったし、 女の子の青春映画を撮ってみたいと思っていたので、いいチャンスだと思って今回引き受けました。

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―今日、ご覧頂いている皆さんの年齢の幅が広いなと思うのですが、 前作の『時をかける少女』を知っているというかたばかりでなく、今回の作品が初めてだというかたもいらっしゃると思います。
  主演のお二人も、特に中尾さんは「僕はこの作品を知らなかった。」とおっしゃっていたそうで、どんな作品になるのだろうと期待していた方も多いのではないかと思いますが、こういう作品にしたいと思った大きなポイントを教えて下さい。

T:前作に対する熱烈なファンの方々の熱い想いというのはねじまげたくはないなと思っていて、リスペクトするという姿勢は持っていようということがひとつありました。
  また、新しいものをつくるからには『時をかける少女』を知らない人でも楽しめるものにするという、新しい映画をつくるうえでのチャレンジする気持ちがありまして、この二つの気持ちが両立するのかと僕自身不安だったのですが、この二つを持っていないとだめなんだと思いながら取り組みました。
  また、新しい映画として観てもらうには、ヒロインの仲里依紗さんをどんな人にも愛されるように魅力的なヒロイン像が描くことが重要だと思いました。

ー上野さんにお聞きしたいのですが、
谷口監督とは助監督時代からの付き合いで気心の知れた仲だと思うのですが、今回の作品ではどうでしたか。

U:そうですね…監督とは13年以上の付き合いになりますね。
  ちょうど『月とキャベツ』という中之条で撮影した作品で谷口監督が助監督をしていた頃からです。
  今回(谷口監督は)新人という形になるんですが、僕にとっては新人もなにもなくて、いつも一緒に仕事をしている仲間という意識でした。
  谷口監督のデヴュー作を私が撮れるということが嬉しかったですね。
  監督が私に声をかけてくれたことが本当に嬉しかったです。

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ー監督さんや撮影のかたとお話する機会がなかなかないので色々聞いてみたいのですが…
  撮影するときにまず最初に何をされるんですか?
  願掛けでも何でも…こういう準備をして撮影に臨まれるということとかありましたら教えて頂きたいのですが。

T:準備ですか?

ーはい。撮ると決めて進もうというときにどんなことをされるのでしょうか。

T:ありきたりですが…台本をよく読むとか(笑)
  あとは… 案外、参考になりそうな映画を借りてきて観るとかですかね。
  あとは、出演してくれる俳優さんの出演作があればなるべく観ておいて、どうゆう風にコミュニケーションをとろうかなと。
  相手のことはやっぱりよく知っておかないといけないですからね。
  スタッフの場合もそうですが、まあ今回はなかったのですが、馴染みのないスタッフに対してどんなチームで作品をつくってきたのかとか調べたりしますね。

ー恐らく作品を観て皆さんも感じられたのではないかと思うのですが、今回色々なところで撮影されてますよね。

T:めちゃくちゃ色んなところです。

ー非常に大変だったんだろうなと、どこで撮ったんだろうなと考えながら見るのも楽しかったんですけれども。
  先ほどおっしゃっていたように、今回関わられているスタッフの方々を知っていくなかで、今回の撮影にきっかけとして取り入れていったことなどありましたか?
  昭和の雰囲気を撮るのに高崎を選んだということですが、どういったことがきっかけだったのでしょうか。

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T:高崎を選んだきっかけというのは、昭和を撮らなくちゃいけないということで、最近の映画で昭和を撮っている作品で『ワルボロ』という作品があるんですけど、エンドロールを見たら高崎市とあったので、高崎市を撮れば昭和が撮れるんだなあと思って。
  制作部のスタッフの人に「ワルボロ、高崎市で撮ってるから調査してよ」ということを言いまして。
  実際には撮影してないんですが、高崎のアーケード街もずいぶん歩いて撮ってみたりもしました。
  あとは音楽センターの前に「新宿バスターミナル」というのを建たせてもらって撮ってみたりもしました。
  あとはアパート。青木君が洗い場で行水しているシーンなんだけど…。

U:高崎駅の近くのアパートですね。
  駅の東側で歩いて5~6分のところにあるんです。残念ながらなくなっちゃったみたいですが…。

T:すっごくいい建物だったんですけどね。
  台本には「洗い場で行水をするシーン」って書くんだけど、どう撮影するか悩んでて。そうしたらちょうどいい場所がありますよって聞いて。

U:実際にお住まいになっている方がお二人いらっしゃったんですけれども。
  住んでいるのに行水のシーンになっちゃって、すみませんっていう(苦笑)

ー撮影のエピソードが出てきたのでそこを掘り下げたいと思うのですが。
  ある監督さんとお話をしていたときに 「シナリオをいかに再現していくということは実は大変難しい」ということをおっしゃっていて、今のお話もまさにそうだなと思ったのですが、今回非常に苦労された撮影のシーンってありましたか?

T:苦労と言うか、気をつけたのはやっぱりヒロインの仲里依紗さんに、いかに活き活きとやってもらうかってことですね。
  俳優さんにも色々なタイプがあって、台本のセリフ通りやれるような人もいれば、台本はあくまでガイドで自分の感情でやっていく人もいるんですけど。
  仲さんは瞬発力で、自分のなまの感情としてあかりを生きる人だったので、本番を重ね過ぎてしまうとその感情がしぼんでいってしまうので、そうならないように上野さんにピッと撮ってもらう。

U:もう動物ですよ(笑)
  いつその表情がなくなるかわからないんでね。
  動物をねらっているような感覚でした。

T:本当はテストしたり、照明直したりが必要なんだけど、「本番ですから回してください!」ということが多々ありまして、そこはプロの上野さんに押し付けちゃいましたけどね。

ー上野さん、撮影をふり返ってみてどうでしたか?

U:今回フイルムで撮ってないんですよ。
  つまり、データ収録で、最近ではテープでもなくてカードで撮ってる状態でしょ。
  その場合、音とシンクロさせるのにカチンコがいらないんですよ。
  それで今回、監督からの要請でカチンコをなくそうって言ってたんです。
  ですが先ほど言っていたアパートのくだりで監督の声がでなくなっちゃったんですよ、大きい声出しすぎて。

T:奇声をあげながらの行水シーンだったので、実際にやってみたら声が出なくなっちゃって…。

U:監督の声が出ないからどうにも気合が入らなくて。
  そしたら次の日、監督は声が出ない代わりにカチンコを持ってきまして(笑)
  「よーい、カチン」と。やっぱり自分でやらないとスタートした気分にならない気持ちはお互い正直だったんですかね。

ーすごいですね…!監督は演出のときに一緒に演じられるんですか?

T:あー…、あんまりやらないですけど、たまにはね。
  助監督時代は上野さんと一緒の現場でやってました。
  うまくできない俳優さんがいると監督が「じゃあ、谷口さんが見本見せてくれるから」って(笑)

ーむちゃ振りですね(笑)

T:スタッフの前で中学生の女の子の役とかやってましたよ。

U:これがけっこう上手いんですよ(笑)
  スタッフみんな笑っちゃってましたけど、堂々とやってて。あれは面白かったですね。

ーそういうところもあって、行水のシーンでは…

T:すこし燃えてしまったんですね(笑)

U:あと、桜のシーンがあったと思うんですけど、満開の桜シーンと満開じゃない桜並木のシーン。
  桜をねらうって言うのは難しかったですね。
  桜って季節によって咲く時期が違うんですけど、去年の4月がちょうどこのシーンの撮影だったんです。
  東京では桜が散っているときに撮影を始めなくちゃいけなかったので、福島県の郡山市にある開成山公園ってところで撮影させてもらったんですけど。撮影の初期の頃はまだ咲いてなかったんですね。
  で、半月ぐらい経ったときにだんだん咲き始めて、満開が撮れたということで。

T:桜前線が迫ってきているって聞いて、戦々恐々としながら「もう、咲くんじゃないか?」とか言いながら撮ってましたね。
  助監督さんがずっと現地と連絡をとりながら、「咲いてるシーンはいつ撮ればいいですか?」なんてやり取りをしながら撮影していくのは結構難しいんですよね。

ー聞いてるだけで、本当にすごいスケジュールだったのだろうなと思うのですが…

T:そのへんはやっぱり手強いですね。

ーキャストのところで先ほど仲里依紗さんのお名前が出ましたが。
  私、個人的には中尾さんを非常に注目しているのですが、
  撮影されていて中尾さんはどうでしたか?

T:そうですね、現代の青年だけれど、昭和の頃の純朴さがつくりものではなくて、中尾さん本人が自分を持って演じられる方なので、そういう人に涼太をやってもらえてよかったなあと思ってて。
  未来からきた「あかり」という女の子が昭和にタイムスリップして人と触れ合ってしまったという現実では有り得ないことでも、スクリーンの上では本当のこととして起こっているようなものじゃなければこの映画はだめだと思ったので、やっぱり涼太の存在がそうであっちゃ絶対に失敗するなと思いましたね。
  でもそこを彼がちゃんと涼太としていてくれていて、映画がうまくいってるのはそこが大きいなと思ってて。

ー中尾さんの風貌が非常に素敵だなと思っていまして。聞くところによるとあれはカツラだとか…?

T:そうです、カツラです。

ー私は、髪を伸ばしてああいったスタイリングを通してたんだとずっと思っていたので非常にびっくりしました。

T:最初は本人も髪を伸ばすというふうに言っていたのですが、ちょうど『ルーキーズ』を撮ったすぐ後だったので、トサカの髪型の状態から、普通の短い髪型に戻しているもののロン毛までいかなくて。
  でもヘアメイクさんも、すごくいい人毛のカツラを用意してくれましてね。

ーそんなところも気になったりしたのですが。
  上野さんは、カメラを覗きながらということもありながら、今だから言えるというようなお話もあると思うので、そのあたりも聞けたらと思うのですが。

U:青木くんの演じたゴテツという役は、カメラマンとしてアメリカ留学をするということなんですが。
  僕自身も同じ8ミリ映画をやってたということもありまして、かなり肩入れしましたね。
  彼はすごく真面目な人なんで、「カメラの回し方とか持ち方ってどうするんですか?」って聞いてくれたりして、とてもいい俳優さんだなと思いました。
  あと、彼が(あかりの)お父さんという役のとき、桐生の公園でお父さんと出会うっていうシーンがありまして。
  キャスティングは他の人にしようかっていう話もあったのですが、青木くん本人が身体を中年太りさせたり顔もメイクして出てもらうことになったんです。
  まあ、正面で撮るとわかっちゃうんで、なるべく正面は撮らないようにしたんですが、すごくよかったですね。
  彼も雰囲気を出してくれて。サブなんですが上手いことやってくれた役者さんですね。
  あとは、やっぱり安田成美さんがとてもよかったですね。病院で寝ている患者さんがなんでこんなに綺麗なんだっていう(笑)
  カメラマン仲間からけっこう文句言われたんですけど(笑)
  やはり綺麗なんですよ。病院のシーンが多かったのに、それだけの印象を残して頂けてさすが大女優だなというふうに思いました。

ー今日こちらに来てくださったお客様たちは、この2週間で『時をかける少女』の宣伝をしてくれるのではないかと信じているのですが、最後に、監督や上野さんからこういう風にみんなに言ってくれという思いがありましたらお聞きしたいのですが…

U:そうですね… 高崎ですから、音楽センターで協力してくださったかたが非常にたくさんいますので、まず感謝ですね。
  朝までやっていましたから、みなさんの協力なしではあのシーンは撮れなかったし、すごいスピードで撮ってしまったんですけど、本当によくやって頂いたなと思っています。感謝を申し上げます、どうもありがとうございました。
  それも含めてなんですが、高崎の街で撮った絵がたくさん残っていると思いますので、
  高崎で撮ったってスタッフが言ってたよということを言って頂ければ、ありがたいと思います。

T:そうですね、音楽センターの撮影を始めとして色々な方々に協力してもらって出来ている映画なので、自分たちの街の映画と言ってもらっていいと思っています。
  そんな風に『時をかける少女』を身近な映画として可愛がってくれたら嬉しいなあというふうに思っています。
  映画は口コミで広がっていくものだと思うので、応援の方よろしくお願いできればと思います。
  今日もこういう形で暖かく観て頂いて、感無量で嬉しく思っています。
  本当にどうもありがとうございました!

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(司会進行:シネマテークたかさき支配人:志尾睦子)

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いかがでしたでしょうか?
今後も「シネマテーク通信」では舞台挨拶などのイベントを
レポートしていきたいと思いますので、ご期待ください!

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