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転校生-さよならあなた- :

 071014_101903 13日からの上映の『転校生-さよならあなた-』ただいま館内にて撮影風景の写真展示、及びロケ地マップを配布しております。

 この作品はいうまでもない、大林宣彦監督の愛にあふれた傑作です。大監督の作品をわざわざそんなこというのもおこがましいですが…、リメイクがたどる道など払拭したすばらしい作品です。しかしながら、この作品はとても小さな環境での上映となりました。興行的な大きなラインに乗らないからこその味わいのある上映を重ねて、高崎にたどり着いたものでもあります。

 本作は、長野県で撮影されました。「50年後の長野の子どもたちに見せたい映画をつくりたい。」という地元の声で立ち上がった企画なんだそうです。その気持ちに感銘をうけた大林監督の手腕と、地元の方々のその土地を愛し、人を愛し、映画を愛する気持ちにあふれた心がふれあった『転校生-さよならあなた-』です。80年代一世を風靡した大林作品の良さ、素晴らしさは寸分も違うことなく、むしろ 時代を重ねたものにしか作り出せない、<皺>のある、作品。

 さまざまな色合いを持った映画がある中で、こんな大きくて小粒な良品を人々にお届けするにはどうしたらいいものかと、頭を悩ませていたところ、 大林監督の大ファンのYさんが、それはファン同士の嗅覚というのか…、すばらしいフットワークでどんどん長野の方々に連絡を取ってくれました。直々に、ロケ地の撮影風景の写真をお借りし、ロケ地マップを送っていただき、シネマテークたかさきにお越しいただくお客様に映画の誕生やそれに触れるさまざまな想いを一緒にお届けすることが出来ています。21世紀長野映画の会の方々、長野の皆さんありがとうございます。この場をお借りしてお礼を申し上げます。

 映画を通して隣県の人々と、私たち小さな映画館がこんな風につながり触れ合えるとは、なんとも嬉しいことだと思っています。

 映画のストーリーはもちろんですが、そこに生きている主人公たちの少し古めかしいような新しいような若さがいいのです。そして、映し出される町並みは、近代的な建物が立ち並ぶいわゆる洗練さと総称される綺麗感ではないし、大自然に裏づけされた美しさ、というのとは一味もふた味も違って、人が生活しているその生活がにじみ出ている素朴な光景であり、それを表現するにはやっぱり、<美しい町並み>というんだろうな、という風合いに彩られています。思えば、邦画界でこういった町並みや人の皺 年季の皺を じっくりと作品に投影できる監督さんって少ないんだろうなとふとそんなことを感じてしまいました。

 映画の良し悪しも自分の中にあるとするなら、それはどんな判断でも基準でもいいのでしょうが、映画をモノとしてというよりも、作品として映画を作った人々の裏側も感じつつ上映していきたいと、こんなときに強く思うのです。もちろん、それが作品としての完成度や質が高ければいうことありません。

 前職場の先生があるとき、こんな言葉をおっしゃいまいた。

「これから先は、懐かしい未来でありたいとぼくは思うんだ。」と。全てが新しく機能的であることが未来というのではない。人が知恵と心を使って生きてきた時代は、懐かしいと感じてしまうけれど、それこそが未来への光に成るのだろうと。『転校生-さよならあなた-』に、その言葉の重みを感じてしまいました。

 小・中・高校生のみなさん、是非足を運んでみてください。そしてお母さんお父さん是非これご覧になって、お子さんたちにご紹介ください。 そしてそして、多くの方々にご覧頂きたいと思います。21日までの上映です。

 

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シネマテークたかさき様で“転校生 さよなら あなた”が10/13日から21日まで上映されてました。事後の記事で大変申し訳ないのですが、上映期間中撮影風景の写真展示とロケ地マップの配布をしていただき温かく高崎の皆様に迎えていただいた事を御礼申し上げます。くわ... [続きを読む]

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