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馬頭琴夜想曲:職人の世界

Batoukin  『父と暮らせば』『筆子・その愛』『紙屋悦子の青春』シネマテークたかさきで上映したこの三作品とともに、今後公開予定している『人のセックスを笑うな』にはなんと共通項があります。前出の三本はなんとなくイメージが結びつくかもしれませんが、ケンイチ君主演の通称人セクで何が同じなのかというと、美術監督さんが一緒なのですね。
 鈴木清順監督、黒木和雄監督、熊井啓監督らとの名コンビで知られた木村威夫美術監督は、なんとこれまでに200本以上の映画の美術を担当されています。
 映画は言うまでもない総合芸術。作品をかたちどる<美術>は空間を作るには当たり前すぎるようにそこにあるので、ひとつひとつをじっくりと見つめることなくストーリーは展開してしまうものだと思いますが、その空間を作り込むため技術と時間と労力は相当の物があると推測されます。まさに芸術です。その細部までのこだわり、色彩感、重量どれひとつをとっても、存在感が際立つなあとおもうのが、木村威夫監督の美術だと言う人は数多くおられるでしょう。もちろん、それは作品のテイストによってさまざまに変化はするし、その振り幅の広さも群を抜いている訳ですからその職人技には恐れ入る思いがします。
 その木村監督が自らメガホンをとったのがこの『馬頭琴夜想曲』。長崎の原爆が引き金となる物語が、幻想的に描かれます。いわゆるイメージ論的に展開されてゆく奇想天外さは誰にもまね出来ない物なのだろうとあっけにとられながら、55分間を見終えてしまうと思います。イメージを物で捉え直す作業の末に生み出された異空間が、<幻想世界>を<手で作り込む>というアナログな動きによって構築されて行くわけで、そこに往年の職人気質を垣間みる思いがしました。
 その幻想世界になくてはならないのが、山口さよ子さんだ、と言わんばかりの<ザロメ>が際立つのはいうまでもありません。惜しくも先日急逝した山口さよ子さんですが、極彩色の衣につつまれたいつまでも色あせる事ない彼女自身がそこにいます。追悼上映でもある本作、異空間・異次元につままれて みてはいかがでしょうか。

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