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健次、再び

Sadvacation_2  いよいよ今週末から『サッド・ヴァケイション』。『Helpless』(1996)、『EUREKA』(2000)と続く青山真治監督の北九州サーガ第3作。久しぶりに見終わってから全身が粟立つような感覚を覚えた邦画でした。初日、二日目、どのくらいのお客様がこの映画に反応していただけるだろうか、不安と期待が入り混じっています。
 それにしてもここは吹き溜まりか。間宮運送という零細運送会社の社屋に、浅野忠信、石田えり、宮崎あおい、オダギリジョー、中村嘉葎雄らが働いている。『アカルイミライ』以来の浅野忠信&オダギリジョーの共演、そしてこのメンバー。どんな緊張感の中での仕事だったのか。この撮影現場の空気に触れてみたいと強烈に思わされました。
 思えば、『Helpless』という映画は僕にとっては不思議な作品でした。というのも、浅野さん演じる主人公の健次に、シンパシーをどうにも感じることができなかったにもかかわらず、見終わった後々まで健次のその後がどうしても気になったという、何だかとても奇妙な 経験をしたのです。1997年には神戸での連続児童殺傷事件が起こりました。以来、犯罪者にシンパシーを感じることが難しくなった、社会から寛容という言葉が聞こえなくなった、そんな時代の幕が開きました。11年経って、そんな健次がまた僕の目の前に現れた。そんな健次は母と再会した。そしてここには、バスジャック事件のトラウマを振り払い、一歩一歩しっかりと地に足をつけて歩みを始めた『EUREKA』の梢もいる。そして僕は、過去の傷とともに生きながらえている彼や彼女を見つめ直すことで、またもや彼や彼女と同じ時空の中に引きずり込まれていく。計算されたシンパシーなどまったく無い、虚構と現実が混ざり合う世界へ。

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コメント

なんつうことはない、この浅野君とオダギリくん二人だけの道草シーン。映画の面白さをそして広がりを果てなく想像させてくれているとおもいます。
贅沢といえばそうなんだけど、あのシーンの会話をあらためてスクリーンのなかでしっかりと見詰めてみたいと思ってます。
なんどでも観たい。

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